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統合失調症

依存症

依存症とは

アルコールや薬物などの「物質」、ギャンブルやゲームなどの「行為」など、特定の物質や行為、過程を繰り返し、ほどほどにはできずに、やめたくてもやめられない状態に至ってしまうことを依存症と呼びます。
アルコール依存症は全国での患者数はおよそ58万人、ギャンブル依存(病的賭博)の疑いのある人はおよそ536万人と言われています。近年注目されているインターネット依存の疑いのある成人はおよそ421万人で、中高生では約93万人(2017年厚生労働省)と推計されています。

私たちの行動は、脳の中の「理性」をつかさどる前頭前野という場所と、「本能」や「感情」などをつかさどる辺縁系とよばれる場所によってコントロールされています。依存症では、辺縁系の報酬系回路に異常をきたし、前頭前野によるブレーキが効きにくくなることで、報酬を求めて行動がどんどんエスカレートし、自分では制御できない状態になってしまいます。この「コントロール障害」、「コントロール消失」が依存症の中心的な症状で、やめられないのは意志の弱さや性格などの問題ではなく、「病気」であると理解することが大切です。
報酬系は私たちの良い行動の基盤にもなる神経回路であるため、条件さえそろえば、誰でも依存症になってしまう可能性があり、決して特別な人だけがなるわけではありません。


依存症の症状

依存症には以下のような種類があります。

  • 物質依存症
  • アルコール、覚せい剤、大麻、シンナー、ニコチン、カフェイン、甘味などに対する依存症です。これらの物質を摂取することで、快楽や刺激を得て、不安や怖れの感情を抑えます。

    • プロセス(行為)依存症
    • ギャンブル、買い物、インターネット、ゲーム、仕事、ダイエット、過食、自傷行為、窃盗などの行為により高揚感を感じて、その行為に執着するようになってしまう状態です。


      • 関係依存症(共依存)
  • 夫婦や恋愛など、特定の人間関係にとらわれて逃げられない依存症です。家庭内暴力やストーカーにつながることもあります。


    依存症は上記のように、自分で自分の欲求をコントロールすることができなくなってしまう病気であり、その結果、飲酒や薬物使用、ギャンブルやゲームなどの行為が最優先になってしまいます。そして、不摂生から身体の健康を害して食欲不振や生活習慣病をきたしてしまったり(身体障害)、怒りっぽくなる、やる気が出ない、注意力が低下するなどの心の不調をきたしたり(精神障害)、学校に行かない、仕事を失う、家庭でのいさかいが増える、友人関係が壊れてしまうなど周囲の人の生活にも悪影響を及ぼします(社会的障害)。




    依存症の治療について

    依存症は、依存している物質や行為を「やめ続ける」ことで、心身の不調や社会的関係性も回復することができる病気です。さまざまな助けを借りながら、アルコールや薬物、ギャンブルなどに頼らない生き方をめざしていくことが可能です。
    一度依存症になると、脳を以前の状態に戻すことは難しく、一度やめることができても、また条件がそろうと「ほどほどにはできない依存の状態」に戻ってしまうことを繰り返してしまいます。本人や家族の力だけでは改善することが難しいことが多いですので、専門機関や周囲の力を借りながら回復を目指します。
    回復のためには、医療機関、回復施設、自助グループの治療プログラムを継続して受ける必要があります。人にはそれぞれの人生があるように、依存症からの回復もそれぞれの回復があると言われます。酒や薬物を使わないことがゴールではなく、それらがなくても幸せに生きていけるようになることが目標です。そのためには、正直に話せて、孤立しないことが大切で、本音を話せて頼ることができる仲間や場所を増やしていくことが重要です。本人を援助する人が多いほど、治療も良い方向に向かうと言われています。

      • 医療機関での治療
    精神療法、薬物療法、集団療法があり、これらを組み合わせて治療を行います。

    精神療法または心理療法では、医師やカウンセラーとの対話を通じて、元々抱えていた不安や孤独感などの心理的な問題の解決をめざしていきます。

    アルコール依存症の場合には、アルコールへの耐性を下げ、身体が酒を受け付けにくくする抗酒剤、飲酒したい気持ちを抑える飲酒欲求軽減薬などの薬物療法があります。

    集団療法としては、グループでお互いの経験や考えを聞いたり語ったりする中で、自分自身のことを振り返ったり、共感してもらう経験を通じて回復を目指します。


    • 回復施設
    グループでの活動を中心に通所や入所を通じて、依存症からの回復と自立を支援する場所です。グループミーティングやレクリエーションなどのプログラムに参加して回復を目指します。


    • 自助グループ(セルフヘルプグループ)
    当事者会、ピアサポートグループという名称のグループもあります。
    アルコール、薬物、ギャンブル、摂食障害など、主に同じ問題を抱える当事者同士が集まり、自分自身の経験や悩みを語り合い、分かち合うことを通じて回復を目指します。仲間との出会いや体験を共有することで、孤立感が癒やされ、回復している仲間から先の見通しや勇気が得られます。また、グループ活動を通じて対人関係(自己表現)のトレーニングもできます。
    また、家族のグループもありますので、ご本人が治療に消極的な場合は、まずご家族がグループに参加してみるのも良いでしょう。家族の関わり方の変化が本人の変化をもたらすきっかけになることも期待できます。


    家庭でのケア

    依存症は欲求をコントロールできなくなる病気ですが、本人は自覚がなく否定したり、自分の気持だけでコントロールしようとしたりして失敗を繰り返すことがしばしばあります。
    周囲の人が叱責や罰を与えるだけでは、嘘をついたり、約束を破ったりしてしまい、本人を追い詰めることになってしまい、結果的にはストレスを解消しようとさらにアルコールや薬物、ギャンブルなどにのめり込んでしまうことも少なくありません。

    また、「本人が作ってしまった借金を肩代わりする」、「本人の代わりに会社へ休みの連絡をするなど」、本人が起こしてしまった問題を代わりに解決してあげることも逆効果になります。なぜなら、自分の問題に直面することなく、物質や行為を続けていくことができてしまうからです。

    このような良かれと思って行う家族の行為は、結果的には病気を支える行動=イネイブリングと呼ばれます。上記の他に、本人の行動を監視する、本人の行動に一喜一憂して振り回される、こともイネイブリングです。
    家族は、本人に対して過干渉にならず、かといって放任することもなく、適度な距離を保つことが大切です。主治医の先生と連携しつつ、家族会や家族グループにも参加するようにしましょう。お住いの地域の保健所や精神保健福祉センターでは、依存症についての講演会や相談会を行っていることがありますし、家族会や自助グループについての情報を得ることもできます。
    自分たちだけで悩まずに、ぜひ専門の機関に相談をしてみましょう。


    • 基本的な家族の対応
    ・依存症の特徴を正しく理解する
    ・批判したり、手助けをしたりして相手をコントロールしようとしない
    ・言ったことは実行し、出来ないことは言わない
    ・本人と関われるのはシラフのときだけにする
    ・暴力に屈したり、病院任せにしたりしない
    ・力強く見守っていく(無関心ではない)
    ・家族自身が共依存となり、イネイブラー(イネイブリングする人のこと)となっていることを認める
    ・家族教室、家族会に参加し依存症について学び、イネイブリングをやめ、本人に責任を返していく
    ・本人への過度な注意・集中を避けて、自分自身に注意をむける





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