リカバリーとは
リカバリーを日本語に直訳すると「回復」ですが、精神疾患・障害が回復する、というのはどのような状態を指すのでしょうか。近年、この回復について新しい見方が登場しています。
- 病気からのリカバリー(Clinical recovery)
- 人としてのリカバリー(Personal recovery)
病気の症状が取り除かれ、元通りの日常生活に戻り、学校に行けるようになる、仕事を頑張れるようになる、などの社会的機能が回復することをClinical recoveryと呼びます。急性疾患やケガなどを負った場合の治療目標として想像しやすいと思います。この目標は本人が設定する、というよりもしばしば医療者など周りの人たちが設定する目標であることが少なくありません。
一方で、精神症状が再発したり、服薬していてもなかなか症状がなくならなかったり、あるいは一定の障害が残っている場合には、リカバリーを達成することは難しいのでしょうか。そこで、次のような「人としてのリカバリー」(Personal recovery)という概念が注目されるようになりました。
一方で、精神症状が再発したり、服薬していてもなかなか症状がなくならなかったり、あるいは一定の障害が残っている場合には、リカバリーを達成することは難しいのでしょうか。そこで、次のような「人としてのリカバリー」(Personal recovery)という概念が注目されるようになりました。
すぐには完治させることが難しい病気、いわゆる慢性疾患などの方が、病気や障害を持ちながらも、希望を持って生き生きと生活できること、幸せを感じられる生活を達成できること、それがPersonal recoveryです。精神疾患の場合、症状によって生活がうまくいかなくなることとともに、生活や人生が行き詰まってしまうから症状が悪くなってしまう、という関係性があることが少なくありません。このようなときには、症状を完全になくすことを目指すのではなく、生活や人生の行き詰まりを解消するような取り組みが大切になると考えられます。Anthonyは、このリカバリーについて以下のように述べています。
「個人の態度、価値感、感情、目標、技能や役割などを変える人それぞれ固有のプロセスであり、病気による制限があったとしても、満たされ、希望に満ち、貢献する生活を送ること、精神疾患による壊滅的な影響を乗り越えて成長しながら、人生についての新たな意味と目的をみつけること」 (Anthony WA, 1993)
医療者などの周りの人たちの押しつけではなく、ご本人が願う生き方、暮らしを達成していくこと、そして周囲の人たちがそれを支えていくことがPersonal revoveryのポイントになります。そこで、Clinical recoveryと混同しないように直訳の「回復」という言葉を避け、あえて「リカバリー」とカタカナ表記することが一般的です。
精神疾患におけるリカバリーは、生活や人生の行き詰まりを解消するような取り組みをしていくなかで、症状も減ったり、再発を予防できたり、という症状の方についても良い効果がでることが分かっています。(詳しくは、「生活臨床」(リンク)をご覧ください)
「個人の態度、価値感、感情、目標、技能や役割などを変える人それぞれ固有のプロセスであり、病気による制限があったとしても、満たされ、希望に満ち、貢献する生活を送ること、精神疾患による壊滅的な影響を乗り越えて成長しながら、人生についての新たな意味と目的をみつけること」 (Anthony WA, 1993)
医療者などの周りの人たちの押しつけではなく、ご本人が願う生き方、暮らしを達成していくこと、そして周囲の人たちがそれを支えていくことがPersonal revoveryのポイントになります。そこで、Clinical recoveryと混同しないように直訳の「回復」という言葉を避け、あえて「リカバリー」とカタカナ表記することが一般的です。
精神疾患におけるリカバリーは、生活や人生の行き詰まりを解消するような取り組みをしていくなかで、症状も減ったり、再発を予防できたり、という症状の方についても良い効果がでることが分かっています。(詳しくは、「生活臨床」(リンク)をご覧ください)
リカバリーを支える
精神疾患を持つ方は、しばしば地域の中で孤立し、不安な毎日を送っていらっしゃいます。医療、福祉、保健などの各専門職は、精神疾患を抱える方に対して、ストレングスモデルやレジリエンス支援などを軸とした支援を行います。また、専門職だけではなく、近年では同じような体験をされた当事者の人たちも参加して支援を行う、当事者研究やリカバリーカレッジなどの取り組みも盛んになってきています。