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2022/07/27

不安、心配な時の対処法 嫌なイメージが頭を離れない時に  【予期不安】【シナリオ法】【認知再構成法】



このブログでは、公認心理士から、皆さんにお役に立てる事をお伝えできたらと思っています。ご参考になれば幸いです。

今回はこれから起こりそうな事が不安になったり、心配になりすぎてしまう、【予期不安】に対する心のスキル、認知再構成法の【シナリオ法】についてお伝えします。

✔️不安とは?

不安とは私たちの自然な感情で、何かが気になって落ち着かない、安らぎが得られない心の状態です。

アルピニストの野口健さんは、エベレスト登頂を目前にしながらも天候不良のため下山した経験から、不安は自分を守るために必要な感情であると、子供向けの番組でお話されていました。不安ゆえに危険からの「勇気ある撤退」を選択できたと話されていました。何度も命懸けで、登山をされている野口さんの言葉は重みがあり、かつ温かく語ってくださって、こんな勇気のある人が「不安な気持ちも大切」と話してくださって、子供たちも勇気付けられたのではないでしょうか。

不安の感情は危険から私たちを守るために必要な、大事な感情なのです。

命の危険を感じるほどの不安や恐怖体験は日常生活ではまれだと思いますが、不安な気持ちに襲われることは少なくありません。
特に、戦争やショッキングなニュースを聞くと、なんとなく、落ち着かない、不安な気持ちになるのは当然の感情です。


✔️不安と体の反応

不安や恐怖の感情が生じるとき、生理的反応として、交感神経系が優位になる「闘うか逃げるか反応(fight orflight response)」が起こります。
不安な時にドキドキしたり、はあはあと息が上がったり、苦しくなってきてしまうのはこのためです。
このような体の反応は、不安な出来事への準備を整える大事な過程である一方で、さらに不安な感情を強めてしまうという悪循環を起こしてしまうこともあります。


✔️行き過ぎた不安は逆効果

不安は防御反応で自然な感情ですが、出来事に見合わない強い不安を感じてしまうことがあります。それは、火災報知器が壊れてしまって、まだ火事がおきていないのに、少し気温が高くなっただけで、ビービーとアラームを鳴らしてしまうようなものです。
そのような状態だと、不安が強すぎて、やりたいことができないとか、行動が制限されてしまうこともあります。

この原因はさまざまですが、過去の不安な体験や傷つき体験での強烈な記憶が残っていて、不安の悪循環に陥りやすくなってしまうことがあります。
極端に不安を感じてしまう性質は、もともとの性格と思われてしまうこともあるかもしれませんが、過去に強い不安や恐怖体験を経験した場合には、このようになってしまうことは少なくありません。


✔️不安で嫌なイメージが頭を離れないときの対処方法

さて、このような時におすすめな心のスキルとして、【シナリオ法】があります。
不安が強い時は、人は「一番悪い、最悪のシナリオ」を自動的に頭に思い浮かべてしまっていることが多くあります。
そこで、この自動的な考えについて、実際どうなりそうかを考えていきます。

① 不安に思っていることをイメージします。
② それが、最悪なことになったら、どうなるかを考えます。
③ 魔法が使えて、そのことが最高に良い方向で変えれたらどうなるか考えてみます。
④ ②と③を合わせて、現実的にはどうなりそうかをイメージします。

具体的な場面を想定してみましょう。





① 「同僚に対して、改善して欲しい点などの言いにくいことを、相手に伝えないといけない」場面をイメージします。
② 最悪なシナリオ:「嫌な顔をされて逆ギレされる」、「私のことを悪く言いふらされる」、「伝えたことで事態は解決どころか悪い方にいってしまう」、「辞めると言い出す」
③ 最高のシナリオ:「同じように考えた他の人が伝えてくれる」、「相手が素直に受け入れて改善してくれる」、「注意されたことを感謝してくれる」
④ 実際にありそうな展開:「嫌な顔をして少しは言い返すかもしれないが、受け入れて、少しは改善してくれる」、「自分に害が及ぶまで、逆上する可能性は低いのでは」

このように考えてみると、自分は何が不安なのか、必要以上に恐れすぎてはいないだろうかと考えることができます。
また、最悪の事態が起こっても、そんなに不安や恐怖に思うことでないと気がつくかもしれません。
自分の考えをいろいろな角度から検証することで、客観的な見方を養うことにもつながります。

とはいえ、実際に相手がいる状況では「出たとこ勝負」な部分もあるので、シュミレーション通りになるかどうかは分かりません。うまくいかない時には「考える時間をください」と伝えて、まだ起きていないことを余り深く考えないことも一つの方法です。
不安な気持ちに対しては、マインドフルネスで「今、ココに集中すること」や、早くなった呼吸を意識的にゆっくりにしてリラックスする呼吸法なども有効です。また、実際に解決できる場合は、問題解決法が有効です。コラム法の認知再構成法認知の歪みもご参照ください。

不安を感じるのは当たり前。
不安により、行動を制限されるのではなく、不安とうまく付き合っていけたらいいですね。

ご自身では対応が難しいと感じる時は、お気軽にカウンセラーまでご相談ください。
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